2020
01.06

特効薬を求めていませんか?〜人の育成は一日にして成らず〜

マネージメント, 人事

人の育成と聞くと、入職から数年かけて研修プログラムを組み、様々な講義やOJTを通して一人前の職業人に育てていくというイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし、そのような大それたものでなくとも、日々の積み重ねの中でできることは多く、まさに“継続は力なり”の育成が大きな成果を生むのではないかと思うのです。

例えば、多くの医療機関で接遇研修を取り入れていますが、通常の企業で実施している内容をスライドしてそのまま使えるかというとそうではありません。また、研修を実施したからといって、翌日から劇的に院内の様子が変わるかというと答えはNOです。

その医療機関に来院する患者さんに適した接遇が必要であり、それは日々、患者さんに接している職員が軌道修正しながら作り出してこそ、完成に近づくものだからです。

「どうしたら、新入職員を育てることができるだろうか」

「今いる人材に、もっと活躍してもらいたい」

このような課題に対する正解はその医療機関の置かれている状況や今いる人材の様子に応じて正解が異なり、人に関する組織の悩みはだからこそ尽きないものです。

そして、実はいま目に見えている事柄は氷山の一角であり、根本には別の課題が潜んでいることもあります。

仮に、もう十分、経験を積んでいる職員に対して、管理職への登用を考えているものの本人が頑なに拒否する事例があったとします。

傍から見ているだけでは、出世欲のない職員にしか見えませんが、実はスタッフ間の人間関係や健康状態、家庭環境などが拒否する理由なのかもしれません。

このようなときは、まるで絡まった糸をほどいていくように、一人のスタッフを管理職にするためにいくつかの問題をクリアにする必要があります。

そう言った意味では、人材育成は生活習慣病の治療に似ているかもしれません。特効薬は一時的なもので、継続的な“治療”が必要だと思うのです。

何しろ、運動習慣や食生活を徐々に変化させていくように、少しずつよい方向へ導いていく過程が大切なのですから。

執筆者:原麻衣子(Maiko Hara)

医療の人事ドットコム編集長。
これまで、MR(医薬情報担当者)経験を経て、地方病院における人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当してきました。現在は、クリニックにおけるWebコンテンツの制作や企画プロデュースに携わっています。

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