2020
08.25

後輩に自分の経験を話すとき~育成視点で話す留意点~

マネージメント, 職員教育

先輩として仕事を教えるとき、成功体験を話すより、失敗経験の方が役に立つといわれることが多いと思います。成功体験を聞くことは、理想の姿やモデルケースを知ることができ、それも大切なことです。また、失敗体験は、こういう計画を立てると、こういう行動をするとこんな失敗をするというリスク管理の視点で、多いに役に立ちます。前者は「こうしたほうがよい」ですし、後者は「こうするとこんなことになってしまう」ということです。どちらも、有益な情報だと思うのですが、失敗体験の方が後輩からすると受け入れやすいと言われている理由があります。

後輩が先輩の成功体験を聞くとき、相互の関係性が大きく影響していると考えられます。関係性がよい場合ですと、先輩の成功体験も失敗体験も積極的に吸収しようという気持ちになると思います。どちらかというと「先輩みたいになりたい」という気持ちが高いと、成功体験の方が実際の仕事に活かそうということで聞きたがると思います。失敗体験は、先輩でもそういうことがあるんだなという興味本位で聞くことのほうが多いのではないかと思います。

しかし、あまり関係性がよくない、もしくはコミュニケーションをとる機会が少ないという関係性ですと、先輩からの成功体験は単なる自慢話にしか聞こえないということもあります。世代が離れていると尚更、「過去の栄光」と捉える後輩もいますので、より関係性が悪化、もしくは離れてしまうということにつながりかねません。「あの先輩と話をすると、昔の自分の自慢話ばかり聞かされる」ということにならないようにしたいところです。その点で、失敗体験の方が受け入れやすいということはわかる気がします。

ただ、失敗体験を話すときも気を付けることがあります。

失敗体験を後輩に話すということは、自分の失敗は後輩のこれからの仕事でも起こりうることだから気を付けてほしいという意図があるからのはずです。やってはいけないことの一つに、失敗経験を話すとき、自分の「大変だった」とか「気持ちが落ち込んだ」とかというその時の自分の気持ちを言ってしまうことです。せっかく失敗経験から学んでほしいという気持ちで伝えているにもかかわらず、その当時の自分の気持ちを付けくわえてしまうことで、後輩の参考になる失敗体験は、結局のところ「昔話を聞かされた」ということになりかねないということです。

自分の経験を話すとき、後輩のことを思ってということがあると思いますが、話しているうちに自分の自慢話や愚痴になってしまわないように気を付けたいものです。

世代間の考え方に格差が広がっているからこそ…ですね。

執筆者:下田静香(Shizuka Shimoda)

医療経営オンライン編集長。株式会社エイトドア代表取締役。経営学修士(MBA)。病院、介護施設で人事制度、評価制度、目標管理制度の構築と定着を中心に人材育成、組織開発のアドバイスしています。楽しく仕事ができるためには?!をテーマにしています。

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