2019
05.06

不満を募らせて退職するスタッフを出さないために出来ること

マネージメント

どの業種でもそうですが、ものやサービスを提供するとき地域住民の利用なくして経営は成り立ちません。医療機関や介護施設も同様で、規模によって違いはあるものの、生活している人々の心身の健康に貢献することが大きな使命となっています。

併せて、それらの施設は地域の雇用創出にも一役買っています。スタッフやその家族が時に、患者や利用者となることも十分に考えられますし、職場環境がよければ、おのずと施設の評判も上がることにつながります。

しかし、たった一つのスタッフとのトラブルが今まで築き上げてきた評判を落とすことも事実です。その一つに退職時のトラブルがあります。

例えば、こんなことがありました。職場でのハラスメントに悩むスタッフがいました。自宅から通いやすく、やっと仕事に慣れたそのスタッフは、なんとか状況を改善しようと上司に相談することにしました。しかし、日々の忙しさもあって、上司はゆっくりと話をする時間が取れません。ハラスメントに加えて、上司の対応にも不満を募らせていたスタッフは、ついに退職を申し出ることにしました。

上記のようなケースは、表面上だけ見ると解雇ではないため、円満退職のように見えますが、実際はかなりの不満やストレスを抱えた状態で退職しています。このようなスタッフが、退職した場合はどのようなことが起こると考えられるでしょうか?

元スタッフが施設を利用したことがある、または近所に住んでいる場合は、その不満を周囲に漏らす可能性が十分に考えられます。悪い評判は広まりやすいものですし、消えにくいものです。また、悪い噂でなくとも、施設の内情を話してしまうことも考えられるでしょう。施設は個人情報を取り扱う機会が格段に多いことから、退職後も情報が漏洩しないよう予め個人情報保護に関わる誓約書を提出してもらうことも一つの手段として必要かもしれません。

しかしながら、そもそもの原因は不満を抱えたまま退職させてしまったことにあります。一般企業と比べて、医療機関や介護施設は管理職やリーダーとなった人への教育やケアにかける時間が少なく、またロールモデルも少ない傾向にあります。今までと同じように現場に関わりながら、なおかつ、指導役としての責任も増えていくのであれば、管理者自身が疲弊することは目に見えています。

このような事態を予め避けるため、管理職やリーダーになる前や、なったばかりの人材に対する研修を実施する、もしくは内部での開催が難しければ、外部で行われるものに参加するのもいいでしょう。

患者さんや利用者だけではなく、そこで働くスタッフの不満を増幅させないための職場環境改善をすることで、よりよい施設づくりを目指して見てはいかがでしょうか。

原麻衣子(Maiko Hara)

医療の人事ドットコム編集長。
これまで、MR(医薬情報担当者)経験を経て、地方病院における人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当してきました。現在は、クリニックにおけるWebコンテンツの制作や企画プロデュースに携わっています。

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