2022
07.30

アクティブ・ラーニングをどのくらい実施出来ていますか?~「主体的な学び」の効果を期待する~

職員教育

こんにちは!

今月に入り、加速度的に感染者が増加してきましたね。コロナ渦3年目、終息に向かうと期待していた矢先だったのですが、なんとも難しい限りです。私自身は前回のコラムにも書いた通り、学会出張が続くなど直近2年間と比べアクティブな生活を送っています。週末を家で過ごさない日があるのは久しぶりで、仕事とはいえ刺激が増えて楽しく感じています。感染拡大になると出張禁止令が出るので、今だけかもですが…(涙)

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 さて今回は、「アクティブ・ラーニング」について考えたいと思います。

私は数年前より大学や専門学校で講義する機会をいただいています。私は講義の際、「アクティブ・ラーニング」としてグループ・ワークまたはディスカッションを取り入れているのですが、苦手な学生がとても多い印象があります。

 先日も某大学の3年生に講義した際、事例を共有しグループ・ディスカッションおよび発表をしてもらいました。その際、学生の1人より「このように主体的に考えて、自身の意見をプレゼンする機会はなかったので大変でした」とコメントをいただきました。これは、「出来ない」のではなく、「慣れていない」のだと感じています。講義を重ねると会話の量が増え、プレゼンが上手になっていくからです。

 実習ひいては働く上で、アウトプット出来る能力は非常に大切です。インターネットの普及によりスマホやタブレットを使用していない学生はほとんどいないのではないでしょうか。「話す(対話する)」機会が減り、言葉で表現する・表出することが少なくなってきているのも背景にあると感じています。

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 近年、我々リハビリテーション分野でも実習の在り方が見直され、クリニカル・クラークシップ(CCS)が導入されています。こちらは診療参加型実習として、見学→模倣→実施の工程を経て段階的に学ぶことが出来る手法です。従来の実習では症例レポートが重視される体制でしたが、CCSではより多くの患者さんの診療に参加し、関わりを通して成長していくことになります。この在り方もアクティブ・ラーニングに準じています。

図のラーニング・ピラミッドは有名ですが、実際にどれだけ実施できているか、自問してみるとまだまだ反省することばかりです。教える側の私たちも指導方法の工夫や知識のアップデートをしていく必要があると実感しています。

 また、学修も実習どちらにおける学びも受動的では難しく、学生自身も能動的かつ主体的に考え、アウトプットしていくことが求められます。教える側が一方向的に教えるのではなく、学生が「何がわからないのか」「何をできるようになりたいのか」「何を学びたいのか」主体的に伝えることでより実り多き実習(学修)に繋がると感じています。

 しかし、この「主体的に」が難しい。これは学生だけでなく教える側もまだまだスキルが足りていないのが現状ではないでしょうか。なぜならば、教える側も学生時代に受動的な授業・学習方法で学んできているからです。

教える側、学ぶ側どちらも主体性や対話性を大切にすることが重要だと感じています。

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 文部科学省は2017年に「新しい学習指導要領の考え方」の中でアクティブ・ラーニングを推進しています。アクティブ・ラーニングは積極的・能動的な授業・学習を指し、従来の学習方式とは真逆といってもよいかもしれません。学修者が能動的に学ぶことにより、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験などの汎用的能力の向上や育成に繋がるとされています。この学習方法として、グループ・ディスカッションやディベート、グループ・ワークが有効な方法としてあげられています。

 アクティブ・ラーニングのポイントとして、「主体的」「対話的」「深い学び」が重要とされています。その1つ、「主体的な学び」とは、学ぶことに興味や関心を持ち、自分のキャリアの方向性と学修との関連性を意識し学ぶこと、また将来の見通しを持って粘り強く取り組むことが何よりも大切なことだとされています。「対話的学び」「深い学び」の3つのポイントを抑えて学ぶことが、より質の高い学びに繋がると改めて感じられました。もっと深く知りたい方は文部科学省の「学習指導要領」や「アクティブ・ラーニングに関する議論」を参照ください。分かりやすく図を用いて細やかに解説されており、大変勉強になりました。なお、改訂版学修指導要領では「アクティブ・ラーニング」という用語から「主体的・対話的で深い学び」との表現にかわっているようです。

maittankobu プロフィール

作業療法士として22年目。管理職13年目となり、最近は「教育・人材育成」に関心を持って取り組んでいます。誰もがいつまでも働けるこころと身体作りをモットーに、日々楽しく勉強中です。

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