2020
04.20

入職時研修の重要性~スタートラインのレベルが決まるとき~

職員教育

新型コロナウィルス感染拡大により、新卒の入職時オリエンテーションや研修が短縮されたり、中止されたりしている医療機関が多々あるようです。「3密(密閉、密集、密接)」が感染防止につながることから、集合研修はまさに「3密」を生む可能性が高いことから致し方ないことです。また、現場はこの状況下での患者の受入れで、人手が足りないことから研修どころではないということも理解できます。

とはいえ、入職時研修を全く実施しないままで現場にその教育を任せることは、それはそれで新入職員とって、現場にとって後に双方に課題が残ります。入職時研修では、社会人として基本的なことを学んだり、所属する組織を知ったりする機会です。その機会が失われることは、次のようなことを招くことが考えられます。

新入職員にとって、入職時に学ぶ機会がないということは、自分のこれまで育ってきた家庭環境や教育環境(学んできた環境)や経験した社会環境から得たことをベースに仕事をし始めることになります。例えば、「あいさつする」、「呼ばれたら返事をする」ことは当たり前のことですが、それすらも入職前の環境でそれぞれ考え方が異なります。あいさつや返事をきちんとすることをしっかり教えられた環境にあったスタッフとそうでないスタッフでは、おそらく日々の仕事の中で行動が違ってきます。忙しいときや機嫌がよくないときにあいさつや返事をしないというスタッフも実際にいます。それは、最初にきちんと教えられていない、組織にとって大事なことであることが伝えられていないからです。だからこそ、これから入職する組織ではこういうことをきちんとできることが求められる、それを伝える機会は持つべきだと思うのです。その求められることが新入職員のスタートラインとなるわけです。そのスタートラインのレベルが高ければ高いほど、そこからより高いレベルのスタッフに育つ可能性がありますし、そのラインから下回ることを回避できるのです。それが、入職時研修なのです。

しかし、今医療の現場はそれどころでないのも確かです。ただ、スタートラインのレベルは将来、新入職員のレベルを左右することになるのも確かです。機会を作ることは難しい状況かもしれませんが、新入職員のスタートライン、どこのレベルにするのか再確認してみませんか。

 

執筆者:下田静香(Shizuka Shimoda)

医療経営オンライン編集長。株式会社エイトドア代表取締役。経営学修士(MBA)。病院、介護施設で人事制度、評価制度、目標管理制度の構築と定着を中心に人材育成、組織開発のアドバイスしています。楽しく仕事ができるためには?!をテーマにしています。

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