2018
06.14

スタッフからの突然の妊娠報告で慌てないために出来ることとは?

採用・退職

保育士の妊娠順番ルールについて話題になったのは、記憶に新しいところです。
その背景には、女性が多い職場で尚且つ、人材不足であるということが語られますが、ルールの正当性については随分、議論が交わされていています。

しかし、これは保育士だけに限った問題ではありません。女性が多く活躍している医療現場においても、このような事例は珍しくないのではないでしょうか。

特に、看護師においては男性も増えつつありますが、まだまだ少ないのが現状であり、どうしても妊娠出産という話題を避けられない傾向にあります。

こういった報告は大変喜ばしい反面、部署のリーダーや人事、経営層にとっては、すぐに人材の確保に対応に奔走しなければならないというもの事実です。

また、看護師側にとっても、妊娠は嬉しく幸せな気持ちをもたらしてくれるものの、上司への報告や公にするタイミングに戸惑うという声もよく耳にします。

【妊娠報告が遅れたために、起こってしまった事例】

以前、関わっていた病院での出来事です。

病院の中でも比較的、若い看護師が多い病棟にいた彼女はあるとき、妊娠したことに気づきました。結婚して忙しい日々を過ごしながらも授かった、待望の赤ちゃんです。

彼女の職場は夜勤もあり、忙しいので休憩時間も十分に取りにくいという状況でした。加えて、既にこの病棟では、産休や育休に入っている職員もいるので慢性的な人手不足です。

本当は、妊娠初期という大事な時期に無理をしたくなかったのですが「私まで負担を減らしてもらったら、職場がまわらなくなるのではないか…」と考え、安定期になってから上司に報告しようと考えていたようです。

しかし、妊娠初期で無理をしてしまった彼女は切迫流産となってしまいました。そこで、初めて上司の知るところとなり、結局、長期入院することになったのです。

これは極端な事例かもしれませんが、こうなってしまう前に職場として何か手を打つことはできなかったのでしょうか。

考えるべきポイントの一つは、“どの時点で妊娠報告をするべきなのか”という点です。

10か月という長い妊娠生活、何が起こるかわからないものです。だからこそ、直属の上司に一言相談しておくことで、妊娠に配慮した仕事量や職場への転向などを考慮してもらえるかもしれません。

また、早期の報告は看護師側だけではなく、上司にもメリットがあります。彼女が、産休や育休に入ったとき、どのような人員配置をするべきなのか?予め、シミュレーションするための時間的余裕を生むことができるからです。

もう一つのポイントは、“職場の雰囲気づくり”です。

妊娠報告を切り出せない理由の一つに「職場のみんなに歓迎されないのではないか?」という心配や不安な気持ちがあります。
忙しい職場であれば尚更、仕事の負担軽減によって周囲から冷たい対応を取られるのではないかと不安に思うことも少なくないでしょう。

ちなみに、労働基準法では妊産婦の夜勤について、申請に基づく免除が明記されていますが、これはあくまで本人からの請求が必要です。言い出しにくい状況下であれば、せっかくある制度を活用することもできません。

日頃からスタッフとコミュニケーションを取り、妊娠報告があったことを喜ぶ。そして、お互いにフォローし合えるような環境づくりも働きやすい病院、クリニックには欠かせない点です。

−良い人材に長く働いてもらうために出来ること–

そのためには何が必要なのか、今一度、考えてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者:原麻衣子(MAIKO HARA)

医療の人事ドットコム編集長。
これまで、MR(医薬情報担当者)経験を経て、地方病院における人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当してきました。現在は、クリニックにおけるWebコンテンツの制作や企画プロデュースに携わっています。

 

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