2020
11.30

「その『辞めたい』はもう決めたことですね?」

採用・退職

こんにちは、小柳です。新型コロナウィルス感染が蔓延しておりますが、皆様お変わりございませんか?今年はずっとコロナに悩まされ、なかなか思うように過ごせずストレスを感じている方も多いでしょう。

さて、今日はある方のお話をしたいと思います。

その方は将来のことを何も決めずに『そろそろ辞めたい』と申し出ました。退職後の見通しはなく、何がしたいわけでもなく、仕事が大変だから適当なタイミングで辞めたいと言います。しかも3年未満で…です。

元々そのスタッフは履歴にやや難点があったので私は心配になり、退職日を12月末か3月末かの区切りのよい時期まで長めに設定し(半年以上あったかもしれません)、それまでに次の仕事や目標を決めて辞めるようにと言い含めました。しかし、結局このスタッフは何も決めずに退職していきました。退職までに何回か面談もしましたが、最終的に何も答えを出しませんでした。

この件は中長期的に院内に悪影響を与え、退職者が続く事態に陥ります。モチベーションの低い方が長期間留まった結果、入職の時期が近い比較的仲のよい複数のスタッフに影響が大きく出たのです。「退職」という事実は、当人以外の他のスタッフの精神面に大いに影響するということを痛感する事例でした。

私はこれ以来考え方を変えました。退職する方の将来を心配するよりも、《退職の意向が出た時には引き止めることも引き伸ばすこともなくなるべく速やかにお辞めいただくべき》と。

小さいクリニックにとってスタッフ1人が辞める穴は大きく、かなり痛手です。代わりの人間が来たからといって簡単にそれを埋められるものではありません。事実、この退職ラッシュから持ち直すのに数年間が必要となりました。残るスタッフへの負担を考えれば躊躇もしますし、乗り切るには覚悟も必要です。それでも、いいえだからこそ速やかに退職していただき次のスタッフを育てる必要があるのです。

「辞める」「辞めたい」には、悩んでいて相談したい場合と本当に辞めたい場合と2種類あると思います。申し出た人と言われた人との関係性によって変わってくるでしょう。しかしある程度の立場の人間に申し出る時点で既に気持ちは固まっており、引き留めたり長引かせたりすることに意味はありません。話の時点でもう気持ちが離れているといっても過言ではないでしょう。

どの方であってもどんな退職であったとしても、ご自分の人生です。自分で決めて自らの足で歩んでいけばよいのです。退職の意向を聞いた時にまず確認するべきことは将来の見通しではなく、「その『辞めたい』は相談ではなくて、もう決めたことですね?」ということだけです。

執筆者:Airi Koyanagi

薬剤師。大手調剤薬局チェーン勤務後、戸塚ヒロ眼科事務長として10年以上クリニックの運営に関わっています。医療スキルと患者様サービス及びスタッフの働き甲斐の3つを成り立たせたいと今も奮闘中

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