06.15
「社会人として心構えと振る舞い」を伝える機会、逃さないで~今年の入職時研修の様子から~
この度の新型コロナウイルス感染拡大で、病院やクリニックはこれまで経験したことのない年度初めを迎えました。企業では入社式も中止になり、新人研修も実施できないまま、リモートワークから社会人一年目がスタートした人たちもたくさんいました。入社式、新人研修、配属というこれまで当たり前だったことを経ずに約2か月間が過ぎていったわけです。
一方、ほとんどの病院やクリニックは、入職式や新人研修こそ例年通りとはいかないもの、初日から通常どおり、新入職員を受け入れしている状況でした。どちらかというと、猫の手も借りたいときでしたから、新入職員とはいえ、ある意味“即戦力”として働いてもらったというところも。聞くところによると、結果として、結構現場に慣れて、それなりに仕事を覚え始めているといいます。この状況下でのメリットだったのかもしれません。
しかし、入職して、毎日の目の前の緊急場面に対処すべく、これまでにないOJT(現場教育)が行われているのだと思われますが、本来実施すべきだった新人研修のプログラムをこなしていないことは、後々マイナスの影響が発生することもありますので、できれば入職半年までにはフォローしておきたいところです。
多くの病院、クリニックでは、入職時研修で病院概要や各部署の紹介、各種規定等(就業規則、個人情報、医療安全、感染対策、災害対策他多数)について丁寧に説明します。また、接遇を含めた社会人としての心構えや振る舞いについて研修を実施しています。今年は、この「社会人としての教育」を省いた医療機関が多いそうです。集合研修は「蜜」になることから、できるだけ短時間に…とのことで、医療現場に必要な必要最低限のプログラムになったということでしょう。しかし、「社会人として」の教育は、現場では教えられることが少なく、もし教えられていなければ、生涯労働で一度も学ぶことなく過ごしてしまうこともあるのです。医療人としてそれなりの経験を積んで、技術が高まったとしても、「社会人としてどうなのかね」と言われないスタッフにするためには、できれば1年目のうちにしっかりと伝える機会を作るべきだと思います。
将来、自院で活躍してくれる大切な人材だからこそ必要だと思うのです。
執筆者:下田静香(Shizuka Shimoda)
医療経営オンライン編集長。株式会社エイトドア代表取締役。経営学修士(MBA)。病院、介護施設で人事制度、評価制度、目標管理制度の構築と定着を中心に人材育成、組織開発のアドバイスしています。楽しく仕事ができるためには?!をテーマにしています。
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