07.06
開業準備とは
クリニックの開業サポートをする際、準備することが大きく2つに分類できます。1つは「生業を開始するための準備」です。場所、建物、医療機器、什器、備品、スタッフ採用、書類提出などがこれに該当します。
開業予定日から逆算してこれらの準備していきます。私がメインサポーターでない場合、この「生業を開始するための準備」だけで終わっているケースが多く見受けられます。つまりもう1つの準備がほとんどされていないのです。
その「もう1つの準備」とは、「経営者になるための準備」です。なぜこの部分が欠落するのかと言うと、メインサポーターに意識も知識もないことが大きな理由です。各々が売り込みたいものに集中するあまり、意識がないのです。開業準備で「経営者になるための準備」ができていれば、開業後いずれ来る壁や逆境にも立ち向かい克服できることでも、この部分が欠落しているばかりに小さな壁や逆境を乗り越えられないケースがあります。この「経営者になるための準備」の必要性はメインサポーターとなる業者に意識や知識がないだけでなく、実は開業予定の医師さえ気づいていないことがあります。
それは今まで「勤務医だったから経営という概念がない」「相談した先輩開業医からはそんな話は聞いていない」というのが大きな理由です。開業すれば患者は自然と来るという思いがまだまだ抜けない業界ともいえるでしょう。
現在、開業サポート以外に既存クリニックの経営サポートをしていますが、最近は開業して10年以上のクリニック院長からサポートの依頼もあります。「自分はどこに進んで行けばよいのかがわからない」「日々、目標もなく、ただ来る患者をさばいている」などの言葉を聞きます。
話を伺うと、開業準備期間中は「生業を開始するための準備」だけをし、「経営者になるための準備」はしていなかったとのことです。そしてこのような院長の周りには、明確な目標も目的もなく開業され、なんとなくクリニック運営をされてきた医師が少なくないといいます。
開業して10年以上のクリニック院長にもこれから開業を目指す医師と同じように「もう1つの準備」である「経営者になるための準備」をサポートすることも最近増えてきています。
開業を考える医師には是非この2つの準備をすることが重要だと思いますし、そうすることで「開業してよかった」と思えるようになればと思ってサポートしています。
私は今後もそのような開業サポートを継続していきたいと思います。
執筆者:田中秀幸(Hideyuki Tanaka)
株式会社ファイネス 医業開発室に所属し、クリニック開業サポート、クリニック承継サポートを中心に活動しています。 スポーツが好きで、中学クラブチームのメンタルコーチや医療・介護・福祉関係者へメンタル講習をしています。
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