2020
01.27

開業時に気を付けておきたいこと~クリニック開業時の勝手な期待感を悪化させないために

開業

患者や地域住民は、新しいクリニックが開業するという情報を得たとき、どのようなことを思うでしょうか。

近隣にクリニックの建設が始まると、建築看板に「(仮称)○○○内科クリニック」のように表示されることなどから、「ここにクリニックができるんだ」という情報が拡がります。建設前には近隣に挨拶や説明をしますので、その住民達は当然クリニックが開業することを知っています。そして、複合的情報から、徐々に地域の人たちに認知されていきます。この時点でクリニックの開業は既に動き始めているのです。何が動き始めているかというと、クリニックへの期待感です。その期待感には、2つあります。

1つ目は、新しいクリニックへの漠然とした期待感です。新しいものに対して、私たちはなにがしかの期待を持つものです。そして、「新しい」ということは、いろんなことが「新しい」のだろうという勝手な思い込みもそこに含まれてきます。例えば、歯科クリニックであれば、「治療するのに痛くない何かがあるのではないか」とか、「最新の機器で最新の診療をしてくれるのではないか」とか個人の勝手な期待がかかっているものです。

2つ目は、これも患者の勝手な思いや期待ですが、新しいクリニックなら今通っているクリニックへ不満を解消してくれるのではないかという期待感です。患者は、現在通っているクリニックに不満があっても、他に同じ診療科のクリニックが近隣になければ、そこに行かざるを得ません。他にいいクリニックがあるならいつでも変わりたいという思いを持っている患者ですと、「不満を解消してくれるかもしれない」という期待感を持つこともあるでしょう。

そして、気をつけたいことは、この“勝手な期待”が裏切られたときです。患者や地域からの高い期待があればあるほど、それにそぐわない時の落差はかなりのもので、開業初日から1ヶ月ぐらいで、近隣や受診した患者から「あのクリニックは、期待に対して〇〇だった」というようなプラス評判とマイナス評判の流れ方をします。勝手な期待感とはいえ、マイナス評判は少しでも回避したいことです。

そうなると、期待以外に余計なマイナスの印象を与えないためには最低限のことですが、スタッフ一人ひとりが患者に不快感を与えない身だしなみや態度がとれること、クリニックが新しいとはいえ、整理整頓がなされていること、清潔であることは実践したいものです。これがさらにマイナスに働くと、診療は別に院長やスタッフの個人情報にターゲットが当たってしまいます。この土地の生まれの人なのかだとか、どこの大学を出身した医者なのかとか、なんでこの地に開業するのかとか、スタッフは△△クリニックにいた人だけど何であのクリニックに転職したのだろうかなど。

患者や地域の勝手な期待感にすべてに応える必要はないですが、どのクリニックでも最低限できていること、どの業界でも最低限見られることの身だしなみや態度、整理整頓や清潔は開業時は、勝手な期待感をさらに悪化させないためにも特に気を付けたほうがよい要素のように思われます。

執筆者:下田静香(Shizuka Shimoda)

医療経営オンライン編集長。株式会社エイトドア代表取締役。経営学修士(MBA)。病院、介護施設で人事制度、評価制度、目標管理制度の構築と定着を中心に人材育成、組織開発のアドバイスしています。楽しく仕事ができるためには?!をテーマにしています。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意下さい(スパム対策)