2018
12.24

地域包括ケアシステム構築に向けて②~現場療法士の実状~

リハビリテーション医療

前回のコラムでは地域包括ケアシステム構築に向けて療法士が行っていることを中心に書きましたが、今回は現状課題について私感ですが書きたいと思います。

課題の一つにコスト面のことが挙げられます。この「コスト」とは地域ケア会議・介護予防事業を展開するにあたって発生するコストではなく、療法士を派遣することにより医療機関では算定するコストが減少してしまうと言うコストのことです。

当然、派遣する側の医療機関では「売上」に直接関係することですので、派遣の意義は分かっていても素直に受け入れるかは悩ましい問題です。地域や医療機関によっては全面的な了承を受けており、積極的な派遣を勧めているところもあるそうですが、多くの有志からは派遣の調整に苦労している機関が多いようです。その結果、派遣される療法士は「公休」を使用し活動に参加しています。「公休」を使用すると言っても、所属機関名を名乗るわけですので、上長・経営陣の了承を得て参加する必要があります。

活動の日程が決まり、派遣を依頼されると、勤務状況の確認・調整を行い、上長へ承認依頼の書類を作成し、承認後ようやく参加できます。この手続きで最も苦労するのが、「売上」が減少しないよう勤務を調整することです。限られた人員数の中から、一日の公休人数を調整し勤務を組んでいるので、勤務表上では公休を入れ替えれば済むことなのですが、個々のプライベートの予定もありますので、簡単に調整がつくことはありません。ちなみに、管理者としての私の考えは、遊びも勉強も優先順位は変わらないと考えています。かと言って一日の公休人数を増やすことは、減収に直結してしまうため、できれば避けたいのが本音です。

このような状況は多くの研修会で出会う管理者からも聞かれることで、現場レベルでは当たり前になっている印象を受けます。仕組みつくりの中心にいる人たちも現場の悩みは周知しており、行政と相談し、打開策を模索しているのも実状です。また、派遣される療法士の中には「公休」を使ってまで参加することに消極的な考えの人がいるも事実ですし、当然のことだとも思っています。

「コスト」、「意義」、「仕組み」どれも重要ですが、「意義」だけでは持続が難しく、「仕組み」がなければ実現が難しく、「コスト」が解決できなければ動きづらい。

「コスト」に縛られず、「よいと思う事は積極的にしなさい」と言われた研修会を思い出します。。

どうせやるなら最前線!!どうせやるなら全力で!!がんばろう療法士!!

執筆者:野村 和正

理学療法士・介護支援専門員として臨床で働く事15年。
その半数以上を中間管理職として組織運営に携わり、日々現場と管理の狭間で動いている三児の父親。
子供達の未来の為に「父ちゃん頑張ったぞ」と言える父親になる事が今の原動力となっている。

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