2018
12.17

医療機関に対する外部監査等について

病院事情

他の業界は経験がないのでわかりませんが、医療機関は外部からの監査等を受ける機会が多いように感じています。

税務調査など一般の企業に入るものも当然該当しますし、医療機関特有の外部からの監査等も数多くあります。医療機関は実に様々な運営形態があるので、漏れているものが多々あると思いますが、概ね以下のようなものがあります。

【厚生局関連】

 〇施設基準適時調査

 〇個別指導

 〇監査

 〇臨床研修指定病院

【保健所関連】

 〇立入調査

【その他運営形態による監査等】

 〇会計実地検査

 〇会計監査人による往査

 〇外部監査(特定機能病院、臨床研究中核病院、自治体病院等)

 〇内部監査

さらには診療報酬に関係するものとして、医療安全と感染防止対策に係る相互チェックがあり、また第三者評価として日本医療機能評価機構が行う病院機能評価等があります。医療安全や感染防止対策等ではそれらに加えて「院内パトロール」と称して、随時それぞれの担当者が院内巡視しています。

そう考えると目的、根拠や頻度はそれぞれであるものの、医療機関では実に多くの時間を監査やチェックに費やしていると言っていいと思います。

ここまで他者から評価される業界が他にあるでしょうか。

それだけ医療というものが人命を預かる尊い仕事であると考えられていることなのでしょうが、現場の医療従事者や事務職員はそれだけで疲弊してしまって、本来の仕事に支障が出てしまっているほか、働き方改革に逆行して少なからず残業を強いられているのも事実です。

ICTやAI技術の進歩による業務の効率化はもちろんですが、医療機関を取り巻く様々な法律を整理して、内部監査を含めた監査・チェック体制を簡略化していくことも医療従事者の疲弊を緩和する意味で重要なのではないかと考えています。

それと併せて、高額化して医療機関の固定費を圧迫している病院情報システムのコスト削減も今後のICT、AI技術の普及にとって大事なことです。話はズレますが、電子カルテの規格が統一されていないこともあって電子カルテの維持費が医療機関の経営にとって脅威となっており、設備投資に対して大きな制約となっています。

厚生労働省をはじめ、関係医療団体においては、「医療の質向上」「医療安全対策の強化」「働き方改革」などテーマごとに区切って議論するのではなく、それらを包括して、より良い医療提供の在り方について検討していただき、患者さん及び医療者それぞれにとってプラスになる医療政策を進めていってくれることを切に願います。

執筆者:さすらいの中間管理職事務員
地方の中規模(その地域では大規模)病院にて医事課長として勤務しています。日々、中間管理職としての悲哀を味わいつつ、目まぐるしく変化していく医療制度に置いていかれないよう最低限の自己研鑚に励んでいます。

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