09.03
リハビリテーションの専門性から見た在宅医療~餅は餅屋に~
リハビリテーション医療は医学の進歩とともに大きく前進している昨今、理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士の各療法士の専門性も明確にされ、多くの医療機関では各療法士が自身に課せられた責務を果たすために、その専門性を発揮しています。
特に医療保険領域での各療法士の配置は整備されていて、一つの課に所属する療法士の人数は100名に迫る病院もあります。
一方、介護保険領域での療法士の整備状況は医療保険領域と比較すると充足しているとは言い難いのが現状です。充足していない理由は多々考えられますが、介護保険領域で奮闘している療法士の想いをお伝えしたいと思います。
リハビリテーションということばを聞いて、リハビリテーションには理学療法・作業療法・言語聴覚療法の3療法が存在し、個々に専門資格があるということをどれだけの人が認知しているのだろうか? そして、個々の療法にどんな専門性があるのか? と素朴な疑問があります。
在宅で生活する上で、患者さんや家族からの多い希望は、「トイレに行けるようになりたい、なってほしい」、「歩けるようになりたい、なってほしい」、「洗濯ができるようになりたい、なってほしい」、「料理が出来るようになりたい、なってほしい」など移動や生活関連動作に関することです。このようなことは、理学療法士・作業療法士がその専門性をまさに発揮することができる領域です。
では、これらの移動・生活関連動作以外に多い希望は何があるかというと・・・
それは「口からご飯が食べれるようになりたい、なってほしい」、「楽しみ程度でもいいので、“もの”が食べれるようになりたい、なってほしい」、「会話ができるようになりたい、なってほしい」など、摂食や言語に関する希望です。そうなると、摂食・言語に特化した療法は言語聴覚療法となるわけです。
医療保険領域では、患者さんの症状に合わせて必要な療法が必要な時間提供される体制が整っています(整いつつある)が、介護保険領域では必要な量が提供出来ているケースは多くはありません。その中で、理学療法士・作業療法士は個々の専門分野に併せて、間接的に摂食・言語分野に対する療法を行うことが多々あるのが現状です。筋力強化、ストレッチ、姿勢調整、矯正、食事介助指導・・・出来ることはあります。しかし、出来ることはありますが、言語聴覚療法士がいれば・・・と思うことも・・・。
専門性について明確にされている昨今、この専門性のよい面も悪い面も混在している在宅医療現場の中で、必死に何とかしたいと奮闘している療法士がいることを少しでも知ってもらい、医療保険領域同様に介護保険領域のリハビリテーションでも3療法が充足することを願っています。
執筆者:野村 和正
理学療法士・介護支援専門員として臨床で働く事15年。
その半数以上を中間管理職として組織運営に携わり、日々現場と管理の狭間で動いている三児の父親。
子供達の未来の為に「父ちゃん頑張ったぞ」と言える父親になる事が今の原動力となっている。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。