2020
10.12

院長にとって有意義な患者の声を聞けるレポートとは

経営, 薬局

前回は、『クリニック経営と薬局経営で抱える悩みは似ている』で「院長の悩み≒薬局経営者の悩み」についてお伝えしました。

今回は、私が薬局経営者として日々、院長との情報交換で実践していることを紹介します。

私は、薬剤師として服薬指導をするときに意識していることがあります。それは、『診察を受けたあと、患者さんに満足度を聞くこと』です。薬剤師の傾聴能力も問われますが、それ以上に普段から顔の見える関係で信頼を築いていくと本音を話してくれるようになります。それは6万軒あるといわれる薬局の中から選ばれるための一番の差別化になると思い、日々取り組んでいます。

この情報は診察後の処方した病院、クリニックの院長から見えない患者情報として役に立つ情報になりえないかなと思ったりします。

院外処方の場合、患者さんにとって診察室を離れると医療の最終アプローチの場所は薬局となります。

私も経験しますが、いつも同じ顔の薬剤師がきちんと信頼関係を構築していると患者さんは色々と自分の感じたことを話し出してくれるのです。

実際、多くの患者さんは満足を示されますが、中には納得しきれず不満な状態の人もいたりします。

「先生が忙しくて全然、話を聞いてくれなかった」

「なぜこの薬が処方されたかわからない」

「診療方針に納得いかない」

「スタッフの対応が気に入らない」

色々なタイプの患者さんがいますし、院長にとって耳に入ると腹立たしく感じてしまう内容もあるかもしれません。しかし、一方で医療の最終アプローチとして薬局が患者さんの不安や不満を少しでも解消する可能性があると思っています。ここで重要なのが医師の処方内容を否定しないことです。(疑義紹介が必要なケースは事前に対応します)

医師から、たまに耳にする「薬剤師が診療方針と異なる勝手なことを患者に話していた」という事例です。

このようなことがある時は、医師からの話と薬局からの話が異なることで患者さんに動揺を与えさらなる不信感を生んでしまいます。だからこそ患者さんの話をしっかり受け止めた上で医師の診療方針の代弁者として新たに説明します。

もちろん納得しないことがありますが、多くの場合は患者さんの思い違い等、理解しきれていないケースがほとんどです。改めて薬局で情報を補完することでCS(顧客満足度)が上がる経験を多くしています。

私はそんな情報をフィードバックレポートしてよい点、不満点をまとめて、院長へ直接、伝えています。

逆も然りで、クリニックにおける薬局の話もあるかと思います。数は少ないかもしれませんが、院長の耳に入るほどであればクレームのほうが多いかもしれません。

これは薬局経営者にとっても貴重な情報となります。お互いに患者さんの声を共有できる関係は一連の医療体験をよりよいものとするための情報となるはずです。特に新規開業のクリニックの場合はとても効果があると思います。

新しいクリニックはよいも悪いも患者さんの期待度が高まります。そして私たち薬剤師も患者さんから情報を聞く機会が多くあります。

院内における顧客満足度調査と合わせ、薬局側からのフィードバック情報も併せて検証することで、よりよいクリニック経営の一助になればと思っています。

 

フィードバックレポート例

執筆者:加納 裕介

MRファーマスト運営者。
『独立する薬局薬剤師の経営力を伸ばし地域を幸せにする』 という理念のもと
独立開局成功塾という0から薬局経営と起業スキルを身に着けれる少人数制起業塾を運営。元MRの薬局経営者。医師と連携を密にとり地域医療にも邁進中。
旅行好きで余暇ができると宮古島に行き人と自然に癒されている。

MRファーマシスト
http://k-pharma.co.jp/mr-pharmacist/

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