2022
07.02

クリニックの新たな継承のカタチ

地域医療, 経営, 開業

 

 最近は以前に増してクリニック承継、土地活用の相談をいただきます。クリニックの承継は後継者になる医師がいないことが1番の理由ですが、息子、娘ドクターが家業を継がず、目新しい場所で開業するケースが多くあります。では。親がやってきた場所での診療を継続するにはどうすればよいのでしょうか?

 

これまでは他の個人ドクターや医療法人に承継し、この土地での医療存続を実現していきましたが、個人ドクターも医療法人も先程の息子、娘ドクターと同様に「よい場所」と言われる場所でないと承継しなくなっています。このままでは中心部に医療が集中し、田舎では医療の提供ができなくなってしまいます。 

 

 そんな中最近は、ドクターでない方が医療の存続を希望し、ドクターを雇用しクリニックを承継するケースが出てきています。つまり「クリニックはドクターが経営する」という考えから「ドクターではないがクリニック経営をしたい」という方が少しずつ増えており、このような相談をよくいただくようになっています。

ドクターも田舎で人口も少ないと経営が成り立たないとの思いがあり、経営者(開業医)になりたがらないのですが「一定期間の雇われ院長」と割り切るとよい経験を積める機会ととらえることができているようです。 

 

   

 

 先日は石川県金沢市のドクターが閉院を考えていると聞き訪問しました。金沢市の中心部に近く立地的にも魅力ある場所にあるクリニックでした。ドクターは高齢であること、後継者がいないことから、売買を希望されていました。先に述べた話をしたところ共感されており、ドクターでない人が医療の経営をすることには以前は抵抗があったものの、「医療の存続」を考え地域の方々に医療を提供することを考えればそれも選択肢の1つとのことでした。医療の存続を優先して考え、どなたか買いたい方がいらっしゃったら話を聞きたいところでした。 

 

 また、ある臨床工学技師からはクリニック経営をしたいとの相談があります。知り合いのドクターを雇用し、ご自身経営を行いたいとのこと。在宅クリニックに関しても同じ動きがあります。このように地域医療のあり方に変化を感じており、軽減したい方、スタッフの患者にとってこのような形は新しいクリニック経営になるのではと思います。 

 

 また、このような形を嫌うドクターは、医師の後継者が見つからない時は閉院を選びます。患者の紹介状を書き、受け入れてくれる近隣クリニックへ連絡されています。 

 

 地域医療を存続させるために、どの形がよいのか答えはありませんが、よりよい結果なるようなサポートできればと思います。商売のために医療を承継しようとする方も中にはいると思いますが、信頼できる方々と情報共有し模索し、お役に立てればと考えています。

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執筆者:田中秀幸(Hideyuki Tanaka)

クリニック開業サポート、クリニック承継サポートを中心に活動しています。 スポーツが好きで、中学クラブチームのメンタルコーチや医療・介護・福祉関係者へメンタル講習をしています

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