2019
01.07

スタッフに気持ちよく、有給休暇を取得してもらうために知っておきたいこと

労働基準法

年末年始は通常と異なり、少し長めの休診だったというクリニックも多いと思います。

スタッフの長期休暇は、職場から離れて家族や友人と過ごし、自分を見つめ直す時間でもあり、ワーク・ライフ・バランスの観点から見ても非常に重要です。特に、昨今の働き方改革が強く求められている中、クリニック側にとってもスタッフが心身ともに元気に働ける環境づくりには力を入れたいところです。

しかし、一方で患者さんは待ってくれません。

これだけ世の中で働き方改革が促進されると、大型連休前に看護師や受付など大半のスタッフが有給休暇の申請をしてきて、診療日に現場がまわらない!ということも起こりえます。

このようなことが起こったとき、使用者側は休暇の申請をそのまま受け取るべきなのでしょうか。

労働基準法では、原則として、

「使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」とあり、労働者側、つまりスタッフには有給取得の時季を指定できる権利があります。

しかし、一方で

「ただし、請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」

とも記載されており、使用者側にも一定の権利が与えられています。でも、これはあくまでも時季を変更するだけでのものであって、有給休暇の取得そのものを取り消す権利があるわけではありません。

また、気をつけたいのが時季変更権の濫用です。

その必要性や緊急性を十分考慮する必要がありますし、有給を取らせたくないという上司の感情的な理論はもってのほかですが、慢性的な人員不足が常態化している場合はまずその対策を講じるべきであり、時季変更権で対応しようとすることは本来の趣旨から反していると言わざるを得ません。

確かに労働基準法では使用者側と労働者側、双方の権利が明記されています。ですが、有給休暇の申請があってもクリニックの診療に支障がないよう、予めスタッフ間で調整するなど対策を講じている場合が多いと思われます。

わたしたちはロボットではなく人間です。

権利ばかり主張して希望を通そうとするだけではなく、気持ちよく仕事ができるようお互いに配慮をし合っているのか、そういうことの大切さをスタッフは認識しているのか、今一度、確認してみてもいいかもしれませんね。

原麻衣子(Maiko Hara)

医療の人事ドットコム編集長。
これまで、MR(医薬情報担当者)経験を経て、地方病院における人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当してきました。現在は、クリニックにおけるWebコンテンツの制作や企画プロデュースに携わっています。

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