07.30
雇用する側される側、双方でおきたい労働基準法①~最低限度の生活を営むために~
日本で働く人には、公務員を除いて、労働基準法が適用されます。昨今、外国人労働者が増加していますが、原則として日本国内で労働する外国人労働者にも適用されます。
労働基準法は、1947年に制定されました。労働基準法では、使用者と雇用される側は対等な立場であると定められています。戦前は、上下の関係であり、使用者は不当な雇用をしても罰せられることがないということになります。しかしそれでは、生産性の高い仕事ができるはずがありません。
働きに見合った賃金、雇用条件、職場環境が整えられて初めて使用される側は、自分のスキルを発揮して、成果を出そうという気持ちになるからです。
「雇用する側される側、双方でおさえておきたい労働基準法シーリズ」として、5回に分けてお伝えしたいと思います。1回目は、最低限度の生活を営む権利についてお伝えします。
法律となると、表現が小難しいからと読むことを敬遠されがちですが、実は私たちが働く上で基本的な事項が定められています。
【労働条件の原則】
第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
この条文は、日本国憲法第25条で定める「国民は健康で最低限度の生活を営む権利」につながりますね。最低限度の生活を営むために働くからには、それ相応の労働条件が必要で、それを定めたのが労働基準法であるということが書かれています。よって、使用者は、最低賃金以上の賃金を支給しなければならないですし、劣悪な労働環境下に使用者をおいてもいけないということになります。
労働基準法に定められていることは、「最低」の基準であり、使用者はそれ以上の労働条件を提示してくださいということも書かれています。例えば、時間外労働の割増賃金は、25%以上の割増しと定められています。ほとんどの病院は25%を上乗せして支給していますが、30%の上乗せでもいいわけです。
このように、労働基準法で定められた労働条件以上のことは、イコール私たち国民がより豊かな生活ができることにつながるということ、使用者はそれを認識した上で職員を雇用してほしいという願いが込められているのです。
執筆:下田静香(Shizuka Shimoda)
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