2018
11.19

人事・労務トラブルの火種は早期に対処〜未然に防ぐための職場環境づくり〜

人事

医療機関には医師をはじめとした様々な職業の方が働いています。事務職や医療クラークなどを除けばそのほとんどが資格職であり、各専門分野でいかんなく実力を発揮、活躍しています。

しかし、一歩外に出てみると専門分野以外のことに疎い場合も多く、特に医療経営に直結する人事や労務に関する知識や情報が十分とは言い難いことも。

人事や労務のことは外部人材(委託等)に任せればいいという声があるかもしれませんが、やはりそれだけでは立ち行かないケースが多々あるのも事実です。一度大きくなってしまったトラブルは火種を消そうにもかなりの労力がかかり、医療機関全体の評判を落とす要因の一つとなってしまいます。

火のない所に煙は立たぬ。大きくなってしまったトラブルの背景には、何が潜んでいるのでしょうか。

仕事をする上で求めていることとは?

昨年、国内大手の求人・転職支援サービスを提供しているエン・ジャパンが発表したアンケート集計結果によると、「仕事に求めること」のトップは「自分の能力を活かせること」。続いて「人間関係のよい職場環境で働くこと」が上位にランクインしています。

この傾向は20代ではより顕著であり、30代、40代になるにつれてその割合は低下していきます。

上記のアンケートは業界を絞ったものではありませんが、医療機関においてもよりよい人間関係を望む声はよく聞こえてきます。

かつて携わっていたある医療機関では、職員数が多かったこともありますが、かなりの縦割り社会でした。このような施設は珍しくないと思いますが、部署内、チーム内の交流はあっても部署を超えた交流がなければ、全体としての風通しはよくありません。

職員数の多さに関わらず、患者さんが過ごしやすい医療機関というのは、職員同士の意思疎通がスムーズで、職種間での格差を感じないものです。このような施設では、ミーティングや会議といった改まった場でなくとも、ちょっとした時間を使って上手に情報交換や交流を図ることができているので、コミュニケーションもよく取れています。

言いたいことが言える職場づくりが大切

また、仕事に対する自分自身の意見や気づいたことを上司や先輩に言える雰囲気づくりも大切です。これは、日頃のコミュニケーションが功を奏します。

院内のトラブルは様々ですし、中には耳を覆いたくなるようなものも。そして、狭いコミュニティの中では噂もまわります。

仮に、施設内で人事トラブルの火種になるような事柄があったとしても、日頃から互いにコミュニケーションを図り、小さなことでも伝えられるような環境であれば、早期にその火種を消すことができ対処できるかもしれません。

昨今は、上司や総務に相談もせずに労働基準監督署に駆け込むという事案も発生していることをよく耳にします。小さなことでも伝えられる環境づくりは、このような事態を避けることもできるでしょう。

医療機関にとって救うべきはもちろん、患者さんです。しかし、そのために職員が犠牲になっていいというものでは決してありません。

よりよい医療サービスを提供するためにも、職員全体が気持ちよく働ける環境を提供することは今までもこれからも、必要不可欠なことではないでしょうか。

原麻衣子(Maiko Hara)

医療の人事ドットコム編集長。
これまで、MR(医薬情報担当者)経験を経て、地方病院における人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当してきました。現在は、クリニックにおけるWebコンテンツの制作や企画プロデュースに携わっています。

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