意識の差 ~意識の低さが苦情を生む~

前職を退職して間もない頃、お世話になった医師から電話をいただきました。

普段は明るく元気いっぱいの医師が珍しく声のトーンが低い・・・。何事かと思い話を聞いてみると、受付スタッフの対応が悪いと指摘を受けたとのこと。クリニックを開業して20年近く経ち、スタッフの対応を褒められたことはあっても、苦情を受けたことがなかったため、「まさか当院のスタッフに限って・・・」と思ったそうでした。

 

しかし指摘をしてくれた方はクリニック開業当初からの馴染みの患者。いわば、長年クリニックのスタッフを見てきた人からの言葉に「もしかして本当にそうなのか?」と思ったそうです。このクリニックは院長、看護師、受付事務がそれぞれ部署毎に責任を持ち業務に取り組んで来られました。忙しいからか、それとも各部署を信頼してのことからか朝礼、夕礼、全体ミーティング、個別面談もされていなかったようで今回初めて「無法地帯」になっていることにこの患者から気づかされたとのことでした。

 

具体的には、

・患者に対して機械的な受け答えしかしていない

・頬杖をついて受け答えをすることがある

・名札の着用を義務付けているが、個人の判断で外している人がいる

・就業時刻になっても来ない人がいる(遅刻)

・目を見て挨拶できない

・就業時間中にスマートフォンをいじっている

など。

 

他のクリニックでは「まさか」と思うことが常態化されていたそうです。

 

 

そこで自分への依頼は、この状態を改善し患者の対応を含め、社会人としての成長をサポート欲しいという内容でした。まず医師に伝えたのは、長年この状態だったとしたら、スタッフだけ変わるのは難しいことを伝えました。医師が中心となりクリニック全体の雰囲気を変える必要があることをお話ししました。医師もクリニック責任者としての自覚を持ち取り組むとのことでしたので、1年間のサポートをすることになりました。

 

スタッフには個別面談を実施し、現在の状況と思っていること、医療という仕事への思いを確認しました。特に受付スタッフは大半が20代で、最年長者でも30代前半と若い人が多いため、時間をかけて話し合いをしました。

そこから見えてきたのは、医療に対する意識の低さ、仕事に対する意識の低さでした。医師の希望で受付スタッフは学校を卒業し、受付事務の経験のないまま雇用している方が大半を占めており、先輩から仕事の進め方を受けていないので自分たちの好きなようにやってきたようでした。長く勤務している最年長者でさえそんな感じですから、長年この状態だったことがわかりました。幸いスタッフ全員にクリニックをよくしたいという意欲があり、全体ミーティングなども実施し改善に取り組んでいます。

 

院長には就業規則の作成と朝礼、夕礼の実施を依頼し取り組んでいただいています。時には自分で朝礼、夕礼に参加し、クリニック責任者としての医師の雰囲気やスタッフの雰囲気を感じさせていただいています。長年続いていたと思われる雰囲気を変えるのは容易ではありません。一人ひとりの意識が少しずつ雰囲気を変えていきます。今回指摘してくださった患者に「スタッフの対応がよくなったね」と言われるのを楽しみ全員で取り組んでいます。

 

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執筆者:田中秀幸(Hideyuki Tanaka)

クリニック開業サポート、クリニック承継サポートを中心に活動しています。 スポーツが好きで、中学クラブチームのメンタルコーチや医療・介護・福祉関係者へメンタル講習をしています

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