苦しい状況を楽しむ
クリニック開業準備をしている際には、ドクターに様々な視点で物事を考えてもらうトレーニングを実施しています。トレーニングの一つに「経営が苦しい」、「人間関係が苦しい」となった時、どう対処するかもトレーニングしています。
近年の開業希望ドクターは承継開業を第一選択に相談してこられます。マッチングが成功すれば初期費用を抑えられ、さらにはスタート時から患者がいるため経営が苦しいと感じることはしばらく先になります。しかし、建物を建て、医療機器等を新しく準備されるドクターは「初期費用、返済、売上が少ない」の三重苦を割と早いタイミングで感じてしまいます。こんな時どうするかをシュミレーションしています。
実は多くのドクターはこの三重苦を理解しつつも、その対処法を決めていないため実際に三重苦になった時に、文字どおり苦しんでいるケースが多々あります。
その状況をどう楽しむか。なかなか苦しい状況を楽しむなんて考えられないと思われがちですが、楽しまないまでも、苦しいと感じないことが大切になります。
楽しみ方の1つは、「最悪を想定して対応策を決めておくこと」です。
思いつきの計画で行動してしまった結果、苦しくならないよう開業準備時にあらゆる危機管理をしておきます。例えば、「どのような状況になったら誰に相談するか」、「どこまでやってみて結果が出なければ引き返すか」などを書き出してもらいます。
これをしておくことで深みにはまらないですし、「こうなればこうする」というドクター自身のルールができるため、精神的に苦しくならず乗り切ることができるようになります。
2つ目は、「途中で何があっても最善を求めること」です。経営計画はいくら熟考して作ってもそのとおりに進まないことがあります。全く想像していなかった状況に陥ることもあります。そんな時、現状を受け入れられなくなり何もかも投げやりになる方もいます。
大切なことは、その状況を受け入れることです。受け入れ認めた上でどう対処するか。受け入れて未来の成功に向かって修正できる方と、受け入れたが昔は良かったと修正できない方がいます。前者になれるようトレーニングが必要なわけです。その場面での最善策を取れるようにしています。
3つ目は「常に分析をすること」です。人間は誰でもそうですが、結果が良い時は嬉しくなり、結果につながった理由を見つけずそのまま毎日を過ごしてしまいがちです。良い結果を継続するためには分析することです。このようなことを開業準備期間中からドクターに提案しサポートしています。面倒だと言われるドクターもいますが目的を持って取り組むことで、開院してから「あの時の事が役立っている」と実感していただいています。
開業サポートとは、ソフト面のサポートだと思い、提案し選んでいただいています。あらゆる部分でサポートし、ドクターには望む結果を得て欲しいと思います。
執筆者:田中秀幸(Hideyuki Tanaka)
株式会社ファイネス 医業開発室に所属し、クリニック開業サポート、クリニック承継サポートを中心に活動しています。 スポーツが好きで、中学クラブチームのメンタルコーチや医療・介護・福祉関係者へメンタル講習をしています。