DX化のカギは電子処方箋?クリニックと薬局の関係は変わるのか

DX(Digital Transformation|デジタルトランスフォーメーション)

このコラムを読まれている方は、積極的に対応されている方が多いでしょうか?

ビジネスの世界に目を向けるとデジタル化で業務に変革を起こすべくいわゆるテック系企業が多く生まれ医療マーケットにおいても多くの新しいサービスが提供されています。医療者側の業務改善ツールや患者側の医療体験を最適化するツール等多岐にわたってきています。

とはいえ、現場では旧来から使い親しんでいるやり方が主流という現状も多くあります。私も経営者です

ので導入コストや従業員教育の手間を考えると簡単にシステム導入し、DX対応ができているといえません。慣れた習慣を変えることは時間がかかることと認識しています。

一方で、超高齢化社会に突入している日本社会では医療需要が急速に増える高齢者世代がどのようにDXにマッチしていくのか。そこに大きな課題もあります。

そこで1つ大きな変革となるキッカケに『電子処方箋』があるのではと考えています。

国からは2022年夏を目途に電子処方箋の運用を開始すると示されています。昨今のコロナ対応を見ていても開始の遅れは想定できますが、電子処方箋の運用がスタートすることは決まっています。

ここにDX化のカギがあります。医療は患者側(顧客)が受け身になることが多く制度、仕組みのもとで動くことが多い中、電子処方箋の普及は患者側の医療体験が大きく変わるキッカケです。

どちらかというと処方箋を応需する薬局側が大きな関心をよせている話ですが、クリニックとしても大きな変化が生まれると思います。

紙の発行コストや偽造処方箋防止もありますが、一番大きいのは薬局からのフィードバック等のやりとりがしやすく雑務が減ることではないでしょうか。

疑義紹介や残薬調整、事後にはなりますが、後発品変更届や情報提供書等薬局からのフィードバックが電子化され業務の効率化が期待できます。

また、すべての患者が電子処方箋対応となると、今はまだアーリーアダプター(初期採用層、早期採用者の意)な方が取り入れているオンライン診療へのニーズがさらに高まるでしょう。結果、オンライン服薬指導、薬は郵送で自宅へ届くというような流れです。病態によっての対面、オンラインのすみ分けがより浸透していくはずです。

近い未来、新しく開業される先生は、門前型の薬局の立地を考えなくてもよくなるかもしれません。

その代わり必要な医療器材のみをそろえたスモールな開業で「オンライン×在宅」という形態の初期費用を抑えたクリニック経営も増えそうな予感がします。

私たち薬局は来るべくDX化の波に順応していくため、患者さんから選ばれる薬局として全精力を注いでいきます。そして医師からも信頼される薬局であり続けないといけません。

長く続く門前型と言われる立地のみの薬局形態にも変化が起こり始める時代に突入しています。

患者、地域、そして医師からも信頼される薬局でないと生き残れません。医薬協業がよりスムーズに進むDX化を期待しています。

執筆者:加納 裕介

MRファーマスト運営者。
『独立する薬局薬剤師の経営力を伸ばし地域を幸せにする』 という理念のもと
独立開局成功塾という0から薬局経営と起業スキルを身に着けれる少人数制起業塾を運営。元MRの薬局経営者。医師と連携を密にとり地域医療にも邁進中。
旅行好きで余暇ができると宮古島に行き人と自然に癒されている。

MRファーマシスト
http://k-pharma.co.jp/mr-pharmacist/

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