クリニックを開業して誰を喜ばせますか?
クリニック開業サポートの確認することの1つに「クリニックを開業することで誰がどのように喜んでくれますか?」ということを聞いています。人は目標があっても目的がないとものごとが続かないというように、「誰のために」ということが決まっていないと大きな壁にぶつかった時や逆境の時に乗り越えられなくなるケースが少なくありません。
開業してすぐにたくさんの患者が来てくれればよいですが、そういかない時もあります。そんな時に「自分には開業は無理だったんだ」とあきらめの感情でいっぱいになるか、「まだまだこれからだ」と前向きな気持ちを持てるかはこの「誰かのために」という気持ちがあるかどうかで決まります。
ドクターに、「喜ばせたい人は誰ですか」と訊くと、「家族」という応えを多く聞きます。中には、“亡くなったばあちゃん”、ペットの愛犬という返答もあります。どなたでもよいのです。自分が頑張ることでその人を喜ばせてあげたい、恩返しをしたいと思えればよいのです。実際、約2年間の開業準備中にこのようなことを話し、うまくイメージできた人とできなかった人では開業後の精神面、経営面に違いが出ています。
開業サポートは、ものの準備やスタッフを集めることに目が行きますが、心技体と言われるように心の部分も大きいのです。ここをおろそかにしない人は真の成功に近づくスピードが早いと感じています。
先日、このような話がありました。3年前に開業サポートをさせていただいた院長と奥様からすぐに来てほしいと言われ訪問しました。用件は、後輩のドクターが開業準備をしているがサポート企業がものだけを入れて「これで大丈夫です」と言って去って行ったとの内容でした。開業1週間前の話です。後輩を助けてやってくれないかとの内容でした。
伺った時は理念も経営方針もなく、一度も打ち合わせをしていないとのこと。このサポート企業に「ドクターのため」という思いがあればこんな風にはなっていなかったでしょう。
クリニックづくりは同じ思いを持つ人をどれだけ増やせるかがカギになります。院長だけでなく、スタッフ、サポート企業が同じ思いを持って「これをすることで誰を喜ばせたいのか?」を考えていければよいと思います。
執筆者:田中秀幸(Hideyuki Tanaka)
株式会社ファイネス 医業開発室に所属し、クリニック開業サポート、クリニック承継サポートを中心に活動しています。 スポーツが好きで、中学クラブチームのメンタルコーチや医療・介護・福祉関係者へメンタル講習をしています。