スタッフの育った社会環境も人材育成の情報のひとつ

現場管理者の悩みで多いことは、やはり“人のこと”のようです。つまり「人事」(人の事)。その理由は、おそらくですが人の気持ちは日々変わるから…としか言えないと思います。体調、気分、機嫌など内的要因もありますし、家族のことなどのように外的要因もあります。そう考えると、現場管理者が“人のこと”で悩むのは永遠と続くものであり、永遠と解決し続けようとする気持ちも大切で、永遠となくならないと、ある意味取り組みつつも「諦め」を持ちながらの解決もよいのかもしれません。

とはいえ、「人のこと」でよくある悩みの一つに「最近の若い人たちは指示したことはするのですが、それ以上のことはしない。次のことを考えて動いてほしい」をよく聞きます。この悩みはおそらくいつの時代も悩みの一つだったと思われます。しかし昨今の社会から考えますと、マニュアルや手順書はあるのが「当たり前」であり、教える側が教えなくても「教えるツール」が教えてくれます。それに慣れている若年層であることは間違いありません。だからこそ、教えるツールがあることは当たり前で、そのとおりにすることがいいことだという考え方は間違っていないと思います。

さらに、急速に進む時代の変化は教える側と指導する側の年代ギャップでも明らかで、日々刻々と年代ギャップが短縮されていることも否めません。これに加えて、個人の考え方(価値観)が認められる社会であることから、時代という縦軸と多様化と個人の考え方の横軸の拡がりから、現場管理者の「ひと」を観る視点が多様化、複雑化していることを改めて認識することが必要だと思われます。

現場管理者は、職員個人に関する悩みを抱えつつも、年代による特徴(よくも悪くも)をステレオタイプで押さえておくことで解決できることもあるかもしれません。職員の生まれ育った年代を観ることもチームでの人材育成に有効な手段になることもあります。どんな環境で育ってきた職員何だろう…という、環境に興味を持つことも大事な人事管理だと思います。

執筆者:下田静香(Shizuka Shimoda)

医療経営オンライン編集長。株式会社エイトドア代表取締役。経営学修士(MBA)。病院、介護施設で人事制度、評価制度、目標管理制度の構築と定着を中心に人材育成、組織開発のアドバイスしています。楽しく仕事ができるためには?!をテーマにしています。

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