管理者として嬉しかったこと ~新入職員に芽生えた療法士としてのプライド~
1年とは短いもので、あっという間に上半期も終わり、4月に入職した新入職員は悪戦苦闘しながら臨床現場で奮闘しています。真剣に患者さんに向き合う姿、悩む姿を間近で見守りながら、私自身が新入職員だった頃を思い出し、「みんなの方が立派に療法士しているよ」と感心しています。
下半期もスタートし、私の職場では上半期の取り組み状況を基に、来年度の新人教育プログラムの修正を行っています。何が良くて何が悪かったか、もっと細かくした方がよかった・・・など前向きな意見も多く、一定の達成感を感じています。
所属部署には今年10名以上の新入職員が入職し、お互いに切磋琢磨しています。ライバルがいることがメリットにもデメリットともなります。時にはお互いの成長を比較し、自信を失ってしまうこともあり、プリセプターをはじめ管理者も目を配っているところです。
そんなとき所属部署の新入職員が嬉しかったことを言ってくれました。それは、「変なプライドを持つより、新入職員として患者さんに迷惑をかけないように、相談や質問することが大事だと思う」という言葉です。学校教育では知識を深め、テストで点数を取りますが、そこに患者さんはいません。ですが臨床現場では患者さんが目の前にいて、結果は点数や知識量ではなく、患者さん、家族、転帰先、在院日数、FIM利得などで一般的に判断されます。勉強したけど結果は出ませんでした・・・では医療従事者として寂しいものです。あくまで主人公は患者さんや家族んであり、医療サービスを提供する私たちではありません。この言葉を言ってくれた新入職員はそのことをしっかり認識できており、毎日笑って泣いて頑張ってくれています。周りの先輩療法士も管理者も頑張っている後輩のために悩んで、指導して、よい意味で「部門全体で1人の患者さんを診る」、そんな関係性を持った部門となってきています。
色んな意見があると思いますが、患者さんや家族の人生の責任を背負う医療従事者。背負うためには個の力は当然必要ですが、その個を支える部門や組織の強さがもっと必要だと思っています。
今回は、新入職員が入職してくれたおかげで、部門に一体感が生まれ、一体感持った部門で働いている新入職員は責任を背負うために自分本位のプライドを置いた、そんなことを経験し、管理者をやっていてよかったなと久しぶりに思え、私の目指す部門に一歩近づいた気がしました。
ありがとう新入職員。下半期も皆で頑張ろう。
執筆者:野村 和正
理学療法士・介護支援専門員として臨床で働く事15年。
その半数以上を中間管理職として組織運営に携わり、日々現場と管理の狭間で動いている三児の父親。
子供達の未来の為に「父ちゃん頑張ったぞ」と言える父親になる事が今の原動力となっている。