任せられる部下をつくるために〜個人ではなく、仕事を管理する〜

学校を卒業し、新入職員として仕事を始めたばかりの頃は、社会や所属する組織のルール、仕事について多くを学びます。毎日が目まぐるしく過ぎていき、ついていくのがやっとという時期でもあると思います。

しかし、一年が過ぎると次の新入職員が入ってきますし、3年目ぐらいを期にリーダーのような役割を求められることもあります。場合によっては、早い段階で管理職としての働きを期待されて人もいるかもしれません。

最近では、リーダーや管理職として責任ある仕事を任されるのを避ける傾向があります。これまでは、自分のことだけを考えていればよかったのですが、まとめ役となることで、組織やチームのことも念頭に入れながら指導、調整していかなければならないからです。

当然のことながら、人が集まればいろいろな考え方もありますし、得手不得手もあるので自分が思い描いているように物事は進みません。そのことにイライラすることもあるかもしれませんが、その時に思い出して欲しいことがあります。それは「個人ではなく、管理するのはあくまで仕事」だということです。

例えば、「ミーティングの時に議事録をとって欲しい」という指示を、部下に出したとします。その職員は一生懸命、議事録をとって後日、上司に提出したにも関わらず、「この書き方はおかしい」「誤字脱字が多い」「終わったらすぐ提出するべき」など、細かく批判することは仕事を管理しているわけではなく、“自分ならこうする”というやり方をその職員に押し付けていることになります。つまり、仕事ではなく、個人を管理しているのです。

上司は、議事録の取り方について一定のルールがあるなら、先に雛形を提示した上で提出期日を伝えるべきですし、一度、任せたからには部下を信じるという姿勢も大切です。初回であれば途中で細かく指示することがあっても、そうでなければ、部下の方法を尊重することで自主性が生まれます。

そして、部下が選択した方法でよい結果が得られたのであれば、新しい風として今後、取り入れることも検討すべきだと思います。

医療の分野でも、これまで定説と思われていたことが、新しい論文で風向きが変わることがあるように、これまでの考えに固執せず、よいものは取り入れながら改善を重ねていくことで、よりよい組織が生まれるのではないでしょうか。

原麻衣子(Maiko Hara)

医療の人事ドットコム編集長。
これまで、MR(医薬情報担当者)経験を経て、地方病院における人事、給与、臨床研修プログラムの構築を担当してきました。現在は、クリニックにおけるWebコンテンツの制作や企画プロデュースに携わっています。

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