雇用する側される側、双方でおきたい労働基準法②~お互い対等な立場で~
「雇用する側される側、双方でおさえておきたい労働基準法シーリズ」第2回目です。
今回は、雇用する側、される側は「対等」であるということがテーマです。
戦前の日本は、雇用する側、される側は上下の立場でした。
労働者は不当が扱いを受けても、法律がないため、日々の生活を営むためには、
雇用する側に従わざるを得なかったというのが実情です。
ちょっと古い?!かもしれませんが、滅私奉公というのがありました。
朝の連続テレビ小説「おしん」がまさにそのものです。
働かせる年齢もあったものではありませんし、賃金も不当な扱いの支払い方でも
だれもなにも言われない時代が現実に日本にあったのです。
今の時代、「おしん」の働かせ方は、労働基準法に照らし合わせると、
不当そのものなのは言うまでもないですね。
労働基準法では、労働者と雇用する側は、次のように定められています。
(労働条件の決定)
第二条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
戦後、日本国憲法が制定され、その後、労働基準法が定められたとき、雇用する側とされる側は、対等な立場であり、労働契約を双方が結ぶことで、労働者は労働を提供し、それに対する対価を雇用側が払うということでWINWINな関係を保つということが決められているのです。
あくまでも、労働と賃金は、提供したなら正当に支払われるべき対価なのです。
そこで、労働力の提供は人によって一律ではないところで、同じ報酬でいいのか…という疑問が徐々にでてきます。
労働基準法が制定されてから1960年ぐらいまでは、学歴による格差での支払いでした。いわゆる年功賃金です。
学歴だけではなく、勤続年数、男女差による格差での支給でも認められていました。
1960年以降高度成長期になると、学歴での差は難しくなると同時に、技術革新にのってきた日本社会は、
学歴&技術・知識を持っている人に対して、高い賃金を支払いたくなったわけです。
このように労働基準法が制定されてから、雇用する側とされる側は、対等な立場になることによって、
労使が双方で求めることの付け合わせで、その対価を考える時代が作られたということです。